そんなことを考えながら歩いていたら、3人組の女子が前を歩いてきた。
他の教師の話によると、両脇の2人は中等部でも有名らしい。
艷倉華苗と、炎王寺繭。
仲が悪いらしく、今も2人はこっそり嫌そうな顔をしていた。
…そして2人の間にいるのが、あの外部受験で見事合格した希少な生徒。
名前は確か……赤城春姫、だったか。
「(赤城は数学ができなさすぎて困ってんだけどなァ…)」
なんて入学早々にあったテストの結果を思い浮かべながら、すれ違った時だった。
「(…………、はっ?)」
偶然だ、そうとしか言いようがない。
ふと赤城に重なったのは、もう1年も会っていないあの女だった。
今も彼女は、コンビニでアルバイトをしているんだろうか。
「(…って、赤城なわけねぇよな)」
ここは超が付くほどのお嬢様学校だ。
コンビニの存在さえ知らないような生徒の集まりなんだ、バイトなんてするはずがない。
それに、その頃の赤城はまだ中学生だ。
働けるわけがねぇ。
………でも。
「(やっぱ似てる、よな…?)」
時が経つにつれ、俺の中で疑問はどんどん膨らんでいった。

