顔色もいい美羽を見て、晴太は一安心だった。



「今は何時ですか?」


「あぁ、もう9時だな」


「っ?!会社は・・・」



今日は平日。


美羽は学校を休めるが、晴太はそう言う訳にはいかない。



「あぁ、学校にはさっきちゃんと連絡をしといたから心配いらないぞ」



だが、そんな美羽の心配をよそに晴太は呑気だった。



「あの、あたしじゃなくて、あなたが・・・」


「あなたがじゃなくて、晴太だ!」



腕を組み、不満そうな晴太に美羽は分からないようにため息を吐いた後“晴太さんが”と言い直す。



「会社はいいんだ。俺がいなくても出来る奴はたくさんいるからな」


「でも・・・」


「いいか、会社の中には俺の変わりになる奴なんかいくらでもいるんだ。だがこの家に、お前の看病が出来るのは俺以外いないだろう」


《良かった。お母さんの変わりになる人がいなくて》



夢の中の母と同じことを言う晴太に驚く美羽。




少しなら、甘えてもいいかな・・・




「じゃぁ、よろしくお願いします」




内心突っぱねられると思っていた晴太は驚いたが、とても嬉しそうに



「任せとけ。こんなもんすぐ治るから心配すんなよ」



と、美羽の頭を撫でながらそう言った。