・─晴太Side─・


結局言えなかった。



晴太は美羽と分かれ、自室に行くと、ため息をこぼした。



帰ると、何やら明日を楽しみにしている美羽がいた。



せっかくの気分を害したくなくて結局パーティーのことは何も言えなかった。




ふと、さっきのキスを思い出した。



「今までの俺なら、あんなこと出来なかったな・・・」



口元に笑みを浮かべる。



学生時代から恋愛に関しては、不器用な性格だった晴太。

そのため、女性に“愛してる”と、そう簡単に口には出来なかった。



でも、美羽になら言える。



恥ずかしがるが、俺の言葉を素直に受けとめてくれる。


嬉しそうにしてくれる。


そして懸命に、自分の想いも口にしてくれる。




お前が安心できるなら、それを望むのなら、恥ずかしさなんて蹴散らして、何度だって伝える。


キスもする。


胸に抱き締める。




それが、今の俺に出来る最大限の愛し方だと、思うから・・・




もう眠ったであろう美羽を想いながら、晴太もベッドに横たわった。