好きな人・・・・・・・?



黙り込む美羽を見て、由良は余裕の笑み。



美羽に好きな人がいないことを、知っているからだ。



しかし美羽の頭には、ある一人の顔が浮かんでいた。




晴太だ。




だが、晴太への気持ちが分からないまま、いると言うのは勝手すぎる気がした。



そんな美羽の気持ちを読み取ったように、梨奈は小声で美羽に囁いた。




「美羽、とりあえずいるっていいなよ」


「でもあたし・・・」


「大丈夫!本人を呼べとはいくら何でも言わないだろうしさ」


「うん・・・・」



梨奈に後押しされ、美羽は頷き由良に向き直った。




「いるよ。あたし、今好きな人いるから諦めて」


「え?」




由良は案の定目を大きく見開き驚いた。




「嘘だろ?だっていないって言ってたし」


「それは過去の話でしょ?出会いはいくらでもあるの!ましてや美羽はこの容姿だもん。出会いがない方がおかしい」



この半分嘘の演技を、ありがたいことに本気で信じたらしく、由良は酷く焦り始めとんでもないことを口に出した。