しかし、なかなか焦らすじゃないか。

俺の胃の方も限界だぞ。

教室に漂う美味しそうな匂いに誘惑されている。

踏ん張れ、ここが踏ん張りどころじゃないか。

「お前、なんだ?メシ食わないのか?」

…ふざけている。
お前らは今日という日を侮辱している。

ご飯を食って少し胃袋を満たしてからチョコを頂くなんて、侮辱行為であることを知らないのか。

女性が今日という日のためにチョコに込めた思いを受けとるならば胃の中はカラッポにしておくことが礼儀であろう。

と、説教をしてやりたいとこではあるが、こんなとこで、お前らなんかの相手をしている場合じゃない。

「俺の家、月一回断食する習慣があって…。」

ふ~んと言った表情を浮かべたソイツは上着からチョコを取り出し食べ始めた。

「…よりによって、バレンタインの日に断食って、なんか大変だな~。」

……。