いつもなら、勢いよく机の中に教科書を突っ込んでしまいたいところだが…。

奥にあるであろうチョコを傷付けたりする可能性がある。ゆっくり入れてゆき、

「あれっ?」

とか言葉に出すことによって、周りの無神経なヤツらにちょっとした異変をアピールするという小芝居も使っていくつもり。

そのイメージを頭の中で何度も繰り返し、俺はそっと教科書を突っ込んでゆく。

あれっ?

なんなく、全部きれいに収まったぞ…。

おかしいな。



「あれっ?」

と声を漏らしたのは俺ではなく、無神経な友達だった。

「なんじゃこりゃ?」

とか言いつつ、机の上にだしたのは、紛れもなくチョコだ。

なに~!?

と疑心暗鬼な俺は、

「それって本当にチョコか?」

と疑ってかかった。

すると、目の前で袋を開けて口に放り込む。

「…ん、…間違いなくチョコだな。」

……。