「さて、帰るか。」

放課後になり、友達のいや今日だけはライバルと言っておこう。
その第一声に正直、驚いた。

何言ったのか、分かっているのか?

本当にどうしょうもないヤツラだな。

と、ため息を漏らしたいが仕方ない。

何故ならとっとと帰ってくれ、と思っている。


早く一人にならないと。

俺にチョコを渡したがっている子がいるんだ。

多分。

お前らがいたら恥ずかしくていつまでたっても渡せないだろう。

「俺、先生に呼び出しくらってるから先帰ってくれていいよ。」

「あ~。別に待ってるよ。」

「ばか野郎!…気持ちを察してくれよ。」

俺のじゃない、今日という日に賭けている女性の気持ちを、

「…ん、分かったよ。じゃあ先に帰るか。」

と、数人の友達はあっさり俺を残して帰ってゆく。

悪い。今日だけは、友情より女なんだ。許してくれ。