「ふふっ、なんであたしがそれ知ってるか………知りたい?」
まるで小悪魔のように笑った夏紀は、俺の腰に手を回してくる。
夏紀の甘ったるい香水が、鼻にまとわりついて気持ち悪い……。
「……何が目的だ? なんでいちいち彼氏に暴力振るわれてるなんて嘘までついて、俺をココに連れてきたわけ?」
俺は胸の奥からこみ上げてくるムカムカを、必死に抑える。
「日向くんと2人きりになりたかったの♪………わかんない? あたし、ずっと前から日向くんのこと好きだったんだよ」
は? しらねーよ、そんなこと。
「そしたらね、この前偶然日向くんのマンションの前通ったとき。………日向くんの隣に女の子がいたの」
いつのことかは分からないが………見られてたらしい。だけど。
「なんで奈央の名前まで知ってんだよ」
俺は抱きついたままの夏紀を引き離そうと、夏紀の腕を掴んで力を入れが……中々離れない。


