もう、嫌だよ。 日向が、あたしじゃない人の香りをさせてるなんて。 こうやって、夜帰ってくるのを一人で待ってるなんて。 でも……信じたいから。 日向は隠し事なんてしないって。 浮気なんて………してないって。 「日向……仕事終わるの八時だったよね?」 「……………」 「こんな時間まで………何……してたの?」 日向は、抱きついたままのあたしを離して。 「……なんでもないよ」 目をそらしながら確かにそう言った。 カシャンって。 あたしの心の中で、なにかガラスの割れる音がした。