「どしたの……?」




日向の顔を見ずに、抱きしめられたままあたしは聞いた。




「……目、覚めたらさ。奈央がいなかったから。もしかしたら、夢でも見てたのかなって思ってさ……」



そっか……日向も、あたしと同じことを思っていたんだね……。




「ごめん、ちょっと……星が見たくなって」



「ん、いいよ。……今こうして、奈央が俺の腕の中にいる。それだけで、幸せだから」




「あたしも、幸せだよ?どこにもいかないから……だから、日向?」




「ん?」




「もう‥‥どこにもいかないでよ‥‥」





あたしが初めて日向に言ったわがままだった。