「あ……飲むもの何もないなぁ」





ごちそうを作ったせいで、すっかりスッカラカンの冷蔵庫を見ると、ジュースどころかお茶すらも入っていなかった。



………まだ、日向の帰ってくる時間まで余裕あるし。





よし、ちょっとコンビニでも行ってこようかな。





そう思って上着を着ると、財布を持ったあたしは部屋を出た。





少し時間のかかる道のりも、もう少しで日向に逢えると思うと、どうってことない。




そんな浮かれた気分で、あたしはコンビニへと歩いていった。





「ありがとうございましたー!」




コンビニに到着すると、適当にお茶やジュースを持ってお会計を済ませる。




いつもなら雑誌を立ち読みしたり、ほしいお菓子を見て迷ったりと時間をかけるのだけど。





今日は、そんなことに見向きもせずに珍しく数分でコンビニを出た。





それくらいに、早く日向に逢いたいのだ。




来た道を、また浮かれた気分で戻っていく。




そして、近くの公園を通った時。




「………奈央ちゃん?」




不意に、そう誰かの声が聞こえた。




「………もしかして、瑠依くん?」




そこに立っていた彼は、キャップを深くかぶっていたせいでよく顔が見えなくて。




でも、なんとなく雰囲気で彼が瑠依くんだということが分かった。




「正解♪」




すると、キャップを取ってニコッと笑う彼。




久しぶりに見た、瑠依くんのその笑顔。