「俺ら、確かに籍はいれてるし。夫婦ってことには、変わりないよ」
「………うん」
「でも、奈央はまだ十六歳だし。おおっぴらにすることもできなかったから……ちゃんとした結婚式は挙げてなかっただろ」
確かに、日向は俳優であたしは高校生。
今のこの状況で、結婚式を挙げることは難しかった。
だから、ちゃんとした式は全然挙げてなかった。
「奈央は式なんて挙げなくても、幸せっていってくれたけど。でも、やっぱり奈央には女の子の夢叶えてあげたいから」
「………日向」
「祝ってくれるお客さんもいないし、綺麗なウェディングドレスだって着せられてあげてないけど……」
「………ううん……」
そんなのいらないよ………。
日向の気持ちを聞いただけで、あたしは今にも泣いてしまいそうだった。


