「………っ……ぅう………」
ふとした瞬間に、頭の上に温かいぬくもりを感じて。
濡れた瞳で見上げると、そこには瑠依くんの大きな手のひらが乗っかっていた。
その手を、ぽんぽんと二回頭の上ではずませて
「ほら、奈央ちゃん? 本当の気持ちに気付いたなら、今からしなきゃいけないこと。わかるよね?」
「……っ……うんっ………」
あたしが涙をこらえながら頷くと、瑠依くんは可愛い笑顔でニコリと笑って、「いってらっしゃい」ってあたしの背中を押した。
行かなきゃ………。
あたしが、今一番にしなきゃいけないことは………。
日向に……大好きな日向に謝りにいかなきゃ………っ。
「ごめん、瑠依くん……本当にありがとう!」
感謝しきれない気持ちを瑠依くんに残して、あたしは部屋から飛び出した。


