「っていうのは嘘で。……なんか、奈央ちゃんが辛そうだったからさ」
「…………え」
柔らかい表情になった瑠依くんは、なぜだか少しさみしそうな顔をしていた。
「だって、朝会った時はあんなに楽しそうだったのに。今の奈央ちゃん、ちゃんと笑えてないよ?」
「…………」
あたしだって……久しぶりの日向とのデートで、すごく楽しみで………。
わくわくしてたよ………。
でも、もしかしたら日向はあたしとのデートなんてどうどもよかったのかもしれない。
あの電話の向こうには、あたしより、逢いたい人がいるのかもしれない………。
そう思うと、あたしは瑠依くんの前なのに、涙をこらえきれなくなってしまった。
「……っぅ………ふぇ……っ」
「……大丈夫だよ。俺でよかったら聞いてあげるから。どうしたのか話してみ?」
瑠依くんの言ってくれた優しい言葉に甘えて、あたしは泣きながらも途切れ途切れ日向とのさっきの出来事を話した。
順番なんてぐちゃぐちゃで、瑠依くんにちゃんと伝わったのかもわからないけれど。
こういうときに、誰かがそばにいてくれるのが、とても安心できた。


