「ねぇ、瑠依くん」
「ん〜?」
あたしの右手首を掴みながらスタスタと人混みをかきわけて歩く。
「やっぱ悪いし……あたし一人で行くよ。きっと瑠依くんの友達も困ってるんじゃない?」
せっかくの修学旅行なのに……あたしなんかと回るなんてもったいないし。
きっと瑠依くんは優しいから、一人でいたあたしに同情して、こうやってくれてるだけだろうし……。
「いーんだって! 俺、奈央ちゃんとデートしてみたかったし♪」
「デートって……」
「だってそうでしょ? 手だって繋いでるし」
「これは繋いでるって言わないの! それにあたし彼氏いるし……」
まぁ、喧嘩中なんだけれど……。
こういうのはちゃんとはっきりさせないとダメだよね。


