ワケアリ夫婦っ!!

煌星くんは驚きながらも、あたしの指を差す先を見た。
「あ、コレ。藍川のなんだ?」
あたしは、コクコクと勢いよく頷く。
「な、なんで? 煌星くんが拾ってくれたの?」
「いや、なんか帰ろうとしたらさ。店長が休憩室にスティックノリ落ちてたから、捨てといてくれって………」
「………スティックノリ……」
店長、化粧濃いわりに"リップ"ってものを知らないんだね………。
「ほら。探してたわけ?」
煌星くんは、あたしの手にリップを差し出してそう言った。
「あ、うん。……っは!!」
「………今度はなんだよ」
また大声を出したあたしに、怪訝そうな顔をした煌星くん。
「真希待たせてんだ!! 行かなくちゃ………っ」
「忙しい奴だな………」
「あ、リップありがと!! じゃあ、またねっ」
リップを握りしめたあたしは、煌星くんに手を振って急いで走った。
「……おもしれー奴」