……正直あたしは、いつも嫌みっぽくものを言ってくる中津さんが苦手で。
だけど……彼もあたしと同じように、日向が大事なんだよね。
だったら………。
｢……大丈夫です｣
｢………？｣
｢中津さんがそうやって日向のことを助けてあげたかったように。日向も、中津さんのことを思ってそうしたんですから｣
｢しかし私は……｣
｢そんな暗い顔しないでください。それじゃ、せっかく頑張った日向に笑われちゃいますよ｣
生意気にこんなこと言ったら、きっと中津さんに怒られちゃうかもしれない。
だけど………ちゃんと分かってほしいんだ。
日向にとっての中津さんを。
｢へへ、中津さんが羨ましいです｣
｢私が……ですか？｣
｢だって中津さんは、日向が無理してでも迷惑かけたくないってなっちゃうくらい、大切に思われてるんだもん｣
｢……そんなこと、ないと思いますがね｣
｢そんなことあります｣
｢………強情な人だ｣
｢それは中津さんもです｣
｢……………｣
中津さんは、しばらく何かを考えるように目を閉じると、小さくため息をした。
やっぱり、高校生のくせに生意気なこと言い過ぎたかな……。
そう思いながらも、中津さんの言葉を待っていると……。
