しばらくして、あたしは立ち尽くしたまま。夏紀さんが泣きやむのを待った。






ドラマでみる夏紀さんの泣く演技とは違う。







本当の涙。







時間は夏紀さんちに来て二時間も経っていて……。







「………ばっかみたい……」





「……………」





ようやく泣きやんだ夏紀さんは、すっかり化粧の崩れた顔をあげて、あたしにそう言った。







「………あんたたちが結婚してるのなんて、予想外だったわ……」





「……………」






その表情は悲しげで。






「あんたも高校生のわりに、けっこう言うのね」







「……ご、ごめんなさい……」






確かに、ついつい興奮して言っちゃったけど。






一応年上の相手なんだから、もう少し言い方考えたほうが良かったかも……。






「でも、あなたの言うとおりだったわ………」







小さな声でつぶやいた夏紀さん。






「………え?」







「なんでもない。あたし、忙しいの……。悪いけど、もう帰ってもらえる?」







結局、最後に呟いた言葉はわからないままあたしは、夏紀さんの家をでた。







「おじゃましました……」







と頭を下げると、ドアはパタンと閉まる。