「あなたたち………結婚、してたの……?」







ずっとあたしと日向が付き合ってるだけだと思ってた夏紀さんは、目を見開いてその場に座り込んだ。







「プロポーズの時に日向がそう言ってくれたんです。だから、あたしは日向のその言葉を信じて、頑張ってこれた」







「……そんなの………」







「夏紀さんの気持ち……すごい分かります。日向は、誰にでも優しいし。たまに子供っぽくて、でもその笑顔に癒されて。とっても素敵な人です………」







「……………」






「だから、そういう人柄だからみんなから愛されて………」






「……………」






「自分だけの日向でいてほしいって………夏紀さんもそうなんですよね?」






「……………っ」






あたしが穏やかにそう言うと、夏紀さんは、静かにどこか一点を見つめたまま涙を流した。






「でも、日向はものじゃないんです………」






自分でそう言うと、なぜたかまた涙がでてくる。






「……面と向かって日向にアタックするなら、あたし戦います………ライバルとして、勝負します……っ」






「………っう……ひぐ…っ」






「だからっ……もう卑怯な手使って、日向を苦しめないでください……っ」






そう言ったあたしは、今にもへたり込んでしまいそうな震える足を一生懸命踏ん張って、立ち続けた。






「………お願いしますっ……」