咄嗟に話しかけようとしたが踏みとどまった。あの様子だと、誰かと待ち合わせしている。

あの落ち着きの無さから見て、おそらくデートだろう。

(美人な彼女とデートって感じか…)

巡は思わず物陰に隠れる。

今日のスケジュールは決まってしまったようなものだ。買い物の途中だが、一度気になってしまってはどうしようもない。

今日は五月女とその彼女のデートを影から応援することに決めた。

しばらく待っていると、五月女の元に小柄な女性が駆け寄ってきた。

五月女が過剰に頭を下げ、女性は可憐に微笑んでいる。さしずめ、「ごめんね、待ったかしら?」「いいえ全く!!今来ました」というやり取りでもしているのだろう。

(だぁぁリア充…!!爆発しろ!!)

巡は長くなりそうな尾行に備えて買ったオレンジジュースのストローを噛んだ。