「………つ、疲れる。」


テーブルに顔を伏せる脱け殻のあたしを見て南がため息をつく。



「マスカラの仕方までわからないとは……。今どきこんな高校生いるのかしら。」


いるじゃん…。


あたしが目の前に。



「まぁ、明日の朝にあたしがメイクしてあげるから。今日は練習って言う事で♪」


よく頑張った。と言って笑ってくれた。



窓を見ると、もう真っ暗だ。


兄さんに電話してないや。

あたしは携帯を取り出して、秘事間歩に通話した。


《もしもし?》


「あ、兄さん?」


《何だよ。》


「今日は友達の家に泊まりに行くから。1人で長い夜を過ごして下さい。」


《あぁ、わかった。んじゃ、友達に世話にならんようにな。礼儀正しくするんだぞ。》



ブチッ、


あ、アイツ…勝手に切った。


しかも小学生扱いされた。