「…母さんは?」 「…仕事」 家に帰れば、いつものように直樹がソファでゲームをしている。 いつもと違うのは…母が、夕飯をつくっていないこと。 いつもなら、テーブルにラップをかけて置いてあるのに…。 「また…?」 「そろそろ、転勤…だってよ」 「…そっか」 あれから、母の顔を見た事はなかった。 もうすぐ…息子の誕生日だっていうのに。 あたしは唇を噛み締め、自分の部屋に向かった。