もう、その背中を追いかけようとは思わない。 もう、寂しさは感じない。 飲み慣れないストレートに口を付けながら、携帯を取り出す。 周りに客がいないことを確認して、バーテンダーを見た。 シモンと呼ばれていた彼が、目を合わせ頷く。 もう、躊躇わない。 名前を探して発信ボタンを、押した。 耳に響く呼び出し音。 『はい』 「私だけど、まだこっちにいるの?」