「小倉… ごめんな?
図書室で…あんなことして…」俺は図書室でつい押し倒してしまったことを謝る。
「えっ?」
小倉は図書室であったことを思い出してしまったのか、顔がユデダコのように赤くなっていた。
「……あ……そのことは……気にしてないよ?」
-*-*-本当は気にしてるクセに…。
そう思った。
だってあまりにも気にしてない感じじゃなかったから。
むしろ凄く気にしてる感じだった。
「……あのさ、小倉……」
「え?なに?」
…あ…俺…今なんて言おうとしたんだっけ?
「あのさ、もう、"黒木くん"じゃなくていいよ。」
あーー!!俺のバカ!!なに言ってんだよ!?……まぁ……いっか?
「え……?でも……みんな"黒木"とか、"黒木くん"って呼んでるよ?黒木くんのこと、名前で呼んでる人1人もいないじゃない。」
「いいんだよ!お前になら名前で呼ばれたって。
っつーか、呼んで……。」
うっわ!!俺、超恥ずかしいこと言った!!///
「…わかった。名前で呼ぶね?
私だけ、黒木くんのこと、名前で呼べるんだぁ。
"私だけ"があると、なんか嬉しいなぁ~…。」
*-*-すげぇ 可愛い。
俺は頬(ほお)をさくら色に染めてそう言った彼女が凄く可愛いと思った。
「じ…じゃあさ…?私のことも名前で呼んで……?」
凄く恥ずかしそうに名前で呼んでと言う彼女が、また、可愛いと思った。
「うん。了解。
でもさ?お互いに"陽向"って呼び合うのってどうなんかな?」
俺はふと不思議に思った。
すると彼女はこう言った。
「同じ名前を呼び合うのって、あんまりないことじゃない?
だから、凄いことだと思う...」
最初は自信満々に言ってたのに最後の方になってだんだん自信がなくなってくる言い方がとても愛おしかった。



