まばたきも忘れて見とれていると、少しずつ雨音が小さくなり、やがて止んだ。


開いたままの傘を下ろすと、まぶしい光が顔に降りそそぎ、キラキラの水たまりにあたしが映っていた。



「……」



あたしはもう一度、お隣の2階を見上げた。


そこにはもう彼の姿はなくて


空色のカーテンだけが、静かに微笑むように揺れていた。