「っ、おい。何やってんだよ」 いつになく険しい表情で、戻って来てあたしの右手をつかまえる。 コンクリの壁を殴りつけた拳。 痛い……。 「……あたしだって」 「は?」 「あたしだって、好きでこんなことしてるわけじゃねーんだよっ!! でも断ったらモカの機嫌そこねるから、仕方なく誘ったんだろバカ!!」 溜まりに溜まった鬱憤が、いきなり大噴火を始めた。