アキの過去を言い訳にしていたのは、あたしの方だ。


臆病で傷つくのが嫌な、自分自身の心の弱さ。


あたしはひざの上でギュッと拳をかたく握った。


……強くなれ。

逃げるな。


強くなれ……!



胸いっぱいに息を吸いこみ、そして顔を上げた。



「ねぇっ……今から神奈川に行く電車あるかな!?」


「おぉぉ泉穂! よく言った!」


わっと部屋が活気づく。