そのとき、猫のグリコが「ニャー」と鳴いた。 久しぶりに開いた窓に嬉しそうな顔をして。 そして…… 「あっ」 ジャンプ。 軽やかな身のこなしで、アキの部屋の方へと飛んだ。 タン!と華麗に着地すると、夕焼け色のベランダでグリコは満足そうに伸びをする。 「グリコ……」 「あらやだ猫の方が素直じゃん」 モカが意地悪っぽく笑った。