「泉穂に何してんだよお前っ!!!!」 聞いたこともないような怒声が空気を震わせた。 よろけながら起き上がろうとした先輩の頬に、アキが拳を振りおろす。 先輩が倒れこんでも胸倉をつかみ上げ、殴るのをやめる気配がない。 いつも冷静で、涼しい顔ばかりだったアキが。 どんな時もけっして熱くならなかったアキが。 今は、ブレーキを失ったように怒りをあらわにして……。 「……おいっ、アッキー。そのくらいでやめとけっ」