桃が手を離すと、先輩は咳きこみながら地面に膝をついた。 「っ…ふざけんなよ、お前ら!」 ワナワナと肩を震わせ、目を吊り上げる。が、 「何の騒ぎー?」 「あの男が女の子を襲おうとしたらしいよ」 「最悪。ありえねー」 「てか、あれってうちの学校のニーナ先輩じゃない?」 「えっ、マジだ」 周囲の声に、先輩はみるみる萎縮。 そして「覚えとけよっ」とマンガのような捨てゼリフを吐くと、一目散で逃げて行った。