「あ、雨……」 静かに降り出した小雨が、地面に灰色の点を作っていく。 そろそろ帰らなきゃ。 立って、歩いて、電車に乗って。 明日が来たら、学校に行って。 失恋くらいで全部を投げだすわけにはいかないって、わかってる。 ……でも、アキはあたしにとって、その“全部”を変えてくれた人だったから……。 まちがってるかな。 自分の全てを捨ててもいい。 だから、リコちゃんになりたい。 そう願ってしまうあたしがいたんだ。