「自分の気持ちを押し殺す必要は、どこにもねぇからな。 人のことなんか気にしなくていい。 お前が本当に好きなら、堂々と貫くべきだって俺は思ってるから」 「……」 不穏な音が響き始める。 早鐘を打つ心臓。 黒い波が押し寄せ、足をさらわれそうになる。 「は? 別に、俺は……」 受け流そうとするアキの声は、けれど、聞き取れないほど小さく弱くなっていた。 「後悔はすんなってことだよ」 月島さんはそう言って、去って行った。