■13■ 不安だった。 心の中では、ずっと。 アキとの距離が縮まるほど。 幸せや期待がふくれるほど。 同じ分だけ、不安も大きくなっていた。 そう、いつか“そのとき”が来たら アキの心はまた過去に戻ってしまうんじゃないかって―― 「泉穂、ゴハンどうすんの?」 ドアの向こうからお母さんがたずね、あたしは「いらない」と答えた。