よく通る、落ちついた声。 話しかけられるとは思っていなくて、少し驚いて顔を上げると。 「橘アキって、この家に住んでますか?」 「……え?」 ほぼ同時に、ドアの開く気配がした。 玄関から出てきたアキが、はっきりと目を見開く。 凝視する視線のその先で 男の人が「よぉ」と片手を上げた。 「久しぶり、アキ」 「……健吾……」