……思わず視線が吸い寄せられたのは、その人の外見のせい。 さりげなく流した黒髪に、精悍な目鼻立ち。 長身で、スポーツのできそうな恵まれた体格。 歳は、ハタチくらいかな……大人っぽくも見えるけど。 見惚れていると気づかれたらしく、彼は軽く微笑んでこちらに会釈した。 あたしも急いで頭を下げる。 すると。 「すみません、お聞きしたいんですけど」 「えっ、はい」