5月の夜はまだ肌寒い。 体が冷えたのか、アキは突然「くしゅっ」と、男とは思えない可愛いクシャミをした。 「乙女か!」 クシャミのおかげで空気がなごみ、調子を取り戻したあたしは憎まれ口を叩く。 アキがズズッと鼻をすすりながら、グリコを抱く腕をゆるめると グリコはさっきのように木を中継地点にして、こちらの窓に飛んだ。