近所迷惑かえりみず、4メートルも離れていない向かいの部屋へ野次を飛ばす。 案の定あっちはスルーだけど、これ以上なめられっぱなしで黙ってちゃダメだ。 あたしだって、言うときゃ言うんだってこと、ガツンと証明しなければ。 「いるんだろ、プリンスー! おいこらー! 橘アキー!!」 ――ガラッ! とカーテンごと窓がスライドした。 「何すか」 暗闇のむこうに、端正な顔が現れる。 初めて見た彼の“表情”は、少しムスッとしていた。