「な~んだ、残念」 メニューをテーブルに放り出し、イスの背もたれにダラッと寄りかかる彼女。 「久しぶりに見てみたかったのになー。あいかわらずイケメンなのか興味あるし」 まるで芸能人の噂話をするみたいな口調。 なんか、イヤだな……居心地が悪い。 「あ、橘って今、彼女いるの?」 「さぁ……たぶん、いないと思いますけど。 あの、ご注文は……」 「そっか~、やっぱいないんだぁ。 じゃあ、いまだに引きずってんのかな。 矢沢莉子のこと」