「……もう、嫌だ……っ」 ぷつん、と糸が切れた気がした。 ぬかるんだ土の上で、ギュッと拳を握りしめる。 爪の間に泥が入り、せっかくキレイに塗ったネイルも台無し。 ……もう嫌。 ろくなことないじゃん。 なんで、こんな……。 急激に襲ってきた脱力感と、濡れて冷えきった体。 景色がぐにゃりと歪んで、白くかすんでいく。 そしてあたしは、降りしきる雨の中、意識を手放した。