“オニ高”。 それは、あたしたちが通ってる大森高校の、定時制(夜間部)のこと。 大森・第2高校。 だから略して“オニ高”。 そのイカつい名の響きに負けないくらい、生徒たちは総じてガラが悪い。 毎日夕方近くになると、登校してきたオニ高生たちが学食に溜まり始めるわけだけど……。 その光景たるや、ここはスラム街ですか?と尋ねたくなるほど。 昼と夜で、この学校はガラリと顔を変えるのだ。 「――あ、そういえば!」 突然、まりえが声を上げた。 「オニ高のプリンスって、知ってる?」