「ま、俺もアゴぶつけちゃって、若干涙目なんだけどね」 あぁぁ、ごめんなさい。 あたしごときが先輩の麗しいアゴをヒットしてごめんなさい。 彼は3年の、新名晴彦さん。 通称ニーナ先輩。 モデル顔負けのスタイルに、大人っぽいウエーブがかかった黒髪。 我が校の頂点に君臨する、正真正銘のイケメンキングだ。 「あれ? もしかして君って、モカちゃんの友達じゃない?」 先輩はあたしの顔をジロジロ見たかと思うと、そう言った。 「え? はい」