唇を噛むあたしたちのまわりで、クラスメイトの忍び笑いが漏れる。 「……」 あたしは転がったイスを持ち上げ、モカたちの方へ静かに歩み寄った。 ――ガンッ!! さっきと同じくらいハデな音をたてて、もとの位置にイスを下ろす。 「大きなお世話。アンタらみたいにベタベタつるみたいわけじゃねーから」 あたしがこんなにハッキリ言い返すなんて、たぶん誰も思ってなかったんだろう。 周囲が息をのむのが伝わった。