ペダルから足を離し、ノンブレーキで一気に坂を下ってゆく。 夏の匂いがあたしたちをすり抜ける。 ――“友達” きっとそれが、今のあたしに許された精いっぱい。 それでもいい。 それでもそばにいたい。 アキの笑顔が、やっぱりあたしは嬉しいから。 好きな人の一番の居場所になりたいんだ。 そうしていつか、過去を思い出にできる日が来たら その時は、あたしを見てくれる――…?