「アンタにひとつだけ伝えときたいことがあるっ」 「え?」 前髪がふわっと後ろに流れる。 まっすぐな一本道の坂を、ふたり乗りの自転車が風を切る。 「あたし、アキのことただの隣人だなんて思ってないからっ…… 友達だって勝手に思ってるから、そこんとこヨロシク!」 「何ー、その宣言」 「いーい? 決めたからねっ」 「よくわかんねーけど、了解」 うしろでアキが笑った。