止めらんないよ。 好きになろうと思ってなったんじゃないんだから。 気がついたら今までの自分じゃなくて、アキを好きなあたしがいたんだから……。 あたしはしっかりと前を向いて、ペダルをこぐ足に力をこめた。 視界を流れる、みずみずしい街路樹の緑。 ふたりの眼下に、駅へと続く長い下り坂が伸びている。 「ねー。アキっ」 あたしは朝の空気を胸いっぱいに吸い込んで言った。