「おっ…起きてますとも!!!」 あたしは慌てふためき、アキの腕をふりほどいた。 「てかあんたねっ、なんでそんな、平然と……っ」 「は?」 「……抱きしめ…たり……」 ごにょごにょ。 急激にボリュームをなくした声は、セミの鳴き声にかき消される。 「何でもないっ!!」 あたしは赤い顔でそっぽを向いて、再び自転車をこぎ始めた。 あーもうっ、あたしのバカ! アキもバカ! 超バカ!