アキの声でハッと我に返ると、目の前までガードレールが迫っていた。 あわててブレーキを握りしめる。 と同時に、前のめりになるはずの体がグイッと後ろに倒れた。 「…………っ」 急ブレーキで止まった自転車。 衝撃からあたしをかばうように―― というか抱きしめるように、しっかりと後ろから回されたのは、アキの腕だった。 「……居眠り運転かよ」 低い声に混じったため息が、耳の裏側に触れる。