「……」 細いうしろ姿が、少しずつ遠くなる。 あたしは思い切って、チリリンと自転車のベルを鳴らした。 朝陽の下、まぶしそうにアキがふり返る。 「あのっ……。ついでだし、乗ってけば?」 「は?」 「後ろ、空いてるし……」 荷台を親指でさして言ったあたしに、アキはプッと吹き出した。 「ナンパかよ」 「……」 ある意味、まちがっちゃいねぇよ。