■7■ トクン、トクン、トクン。 目が覚めて、毎朝ベッドの中でその音を聴く。 トクン、トクン、トクン。 あたしの左胸が刻む音。 命の音。 アイツの顔を思い浮かべると、それは少しだけ速くなって。 そして同時に思い出す。 あのとき見た、傷あとを。 生まれつき悪かったんだ、とアキは言葉少なに語ってくれた。 生まれつき、心臓に疾患を抱えていたんだ、と。