「あ、あの~っ。そういえば、初めまして、ですよね」 「……あー」 「あたし、隣の家の長女で、泉穂っていうんですけど」 「……あー」 「えと、アキ君、だよね?」 「……あー」 「………」 お前は“あ”しか知らんのか? 会話のボールは投げ返せよ! キャッチボールしようよオイ! 胸ん中で抗議してみるものの、目の前の彼は、悠然と無表情を保ったままだ。